午後の診療が終わろうかという頃に、患者様ではないお客様が来院されました。
世間では精神障害者と呼ばれる彼女は、まだ蒸し暑い夕暮れ時に、待合室の窓からの煌々とした光に吸い寄せられるようにふらりと入ってきてしまったのでしょうか…私が二階の自宅から病院へ降りた時には、待合室の椅子にちょこんと座って、冷房に涼んでられました。
スタッフが1人であたふたしている姿に、訳を聞いてみると、飼犬の餌を買いに来たようだったので、初診票に記入をしてもらったところ、様子がおかしいぞと気がついたらしいです。
結果、初診票に記入された電話番号が自宅の番号だったので、ご家族に迎えにきてもらうこととなり、お迎えを待ってる所でした。
スタッフはお客様がどんな病気をもってられるかわからないので、2人きりで待合室にいていいものか困っていたようです。
人も動物もそうですが会った時の知り得る情報で、予測しながら接しているんですよね。
動物が患者さんである私達は、飼い主様からの情報を元に、個々に合わせて距離を取りながら接していきます。
人も同じではないかと思うのです。
障害や病気があっても、なくても、まずは心を込めて声を掛けてみる。
相手を知るための行動が大切なのだろうと思います。
今回は会話でのコミュニケーションが苦手なお客様でしたが、認知症の方や、子どもの迷子、犬や猫の迷子、地域の皆んなで協力しあって優しい手を差し伸べていけるといいなぁと思うのです。
私達の周りにも支援や配慮を必要とする方はたくさんいて、もしかすると明日、私や私の家族が誰かの助けを必要とするかもしれない。いや、考えてみると私自身いつも誰かに助けていただいて生活しています。
そう考えるとヒトゴトではなく、今の自分に出来る手助けは行動しなければと思うのです。
人にも動物にも皆が暮らしやすい優しい世の中になりますように。
無事にご家族と家路につかれた彼女を見送った後、残された初診票を見たら…
住所の欄に「
しゃちょう」って書いてありました。
しゃちょう?
社長??
オモロイやーん

また涼みに来てくれるかな?…なんて密かに楽しみにしている私です。
次はちゃんとお名前を呼んで挨拶ができます。
posted by koyaguchi-ah at 13:22|
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